法人向けの電力プランは、個人向けと契約体系が大きく異なります。そのため「電気代を節約したいけどプランの見直し方がよく分からない」という担当者もいるかもしれません。
法人の場合は、個人向けよりも電力使用量が大きい分、プランの見直しだけでも大幅なコスト削減ができる可能性があります。本記事では、法人向けと個人向けの違いや法人向け電力プランの例、比較方法などについて解説します。
目次
法人の電気料金、個人との違いは?
法人向けの電気料金は、個人向けプランよりも毎月高額となります。電力自由化に伴い電力会社の見直しを行う企業も増えていますが、個人の電気料金との違いをあらためて確認しておきましょう。
業種によって電力の使用規模が違う
個人と比べて法人が使用する電気量は大きくなりがちです。業種や事業規模によっても異なりますが、資源エネルギー庁の調査データ(一般社団法人エネルギ―情報センターまとめ)によると、2017年度の売上100万円あたりの電力利用額は以下のような業種が大きい傾向です。
- 水道業:約27万7,368円
- 宿泊業:約4万5,087円
- 廃棄物処理業:約3万2,799円
電気料金の算出方法が違う
法人向けの電力プランは、個人向けの契約と電気代の算出方法自体が異なります。電気料金プランの契約内容は、規模に応じて異なり大別すると主に以下の3つです。
- 低圧電力:契約電力が50キロワット未満
- 高圧電力:契約電力が50~2,000キロワット未満
- 特別高圧電力:契約電力が2,000キロワットを超える場合
このうち高圧電力や特別高圧電力を使うのは、法人のみです。契約種別で電気代の算出方法も異なります。まずは、自社の電力プランの契約内容を確認するところから見直しを始めましょう。
電気料金の単価計算の比較
自社の電気代を削減するためには、どのように電気料金が決まっているのか、単価計算の方法を知っておく必要があります。厳密に調べると再生可能エネルギー発電促進賦課金などの価格調整も含まれますが、まずは基本の考え方を押さえておきましょう。
基本料金+電力量料金
電気代は毎月変わらない基本料金に、実際に使った電力量に応じた金額を加えて算出するのが一般的です。ただし1キロワットアワーあたりの電力量料金は、契約プランによって異なります。
電力量料金=使用した電気量×1キロワットアワーあたりの料金
電力プランによって異なる電力量料金ですが、使用した電気量と1キロワットアワーあたりの料金の掛け合わせで総額を出すことが可能です。
法人向け電力会社の比較
2022年1月28日時点の登録小売電気事業者の数は745事業者もあるため、どこの会社を選ぶべきかは悩ましいところです。大手の電力会社のうち、ここでは関東圏でお手ごろに利用できる4社を紹介します。
JPでんき
JPでんきの法人向けおすすめプランは、低圧電力の従量電灯Bに該当する「法人プランB」と従量電灯Cに当てはまる「法人プランC」です。1段・2段・3段と使うごとに増えていく電気代のうち3段目の部分に割引が適用されます。
ハルエネでんき
ハルエネでんきは、例えば関東エリアの場合、法人向けの電力プランが全部で8種類用意されています。確実に電気代を抑えたい「シンプルプランH(Q)プラス」や飲食店・美容院向けの「店舗応援プランH」など業態や目的に合ったプランを選ぶことが可能です。
東京ガス
東京ガスの特徴は、電気とガスをまとめたお得なセット割が用意されているところです。ガス・電気の利用料を一括で管理できるため、会計処理上も便利でしょう。創立1885年と老舗企業でもあるため、安定した実績があります。
ネクシィーズ電力
ネクシィーズ電力は、法人・個人どちらの電力プランも扱っている新電力会社です。ホームページ上から料金シミュレーションが簡単にできるため、ぜひ試してみましょう。
電気料金の見直し前にやるべきこと
法人向けの電力会社を見直すことで、大幅な電気代削減効果が期待できます。プランの見直しをスムーズに行うために、以下の準備をしておきましょう。
まずは切り替えの方針を整理
電力プランを見直す際に費用面だけではなく例えば「ガスと一緒に請求にまとめたい」「サポートを充実させたい」などのニーズが出てくる可能性があります。そのため、自社内の切り替え方針として優先すべき条件を整理しておきましょう。
電気料金の明細情報を用意する
「電気料金がどれだけ安くなるのか」について正確な見積もりをするためには、明細情報が必要です。できれば直近12ヵ月分の明細を用意しておくと季節変動も含めて計算できるため、より実態に合ったプラン選びができます。
法人向け新電力の比較方法とは?
法人向けの新電力プランを比較する際には、以下の5つをチェックしましょう。
基本料金を比較
まず電力プランのうち「毎月固定となる基本料金がいくらなのか」についてチェックしておきましょう。
電力量料金を比較
基本料金がいくら安くても、毎月の電力量料金単価が高いと意味がありません。そのため、1キロワットアワーあたりの金額を確認しましょう。
再エネ賦課金・燃料費調整額を確認
再生可能エネルギー発電促進賦課金や燃料費調整額も電力会社によって金額が異なります。プランを試算する際にあわせて額を調べておきましょう。
契約期間や違約金の有無を確認
電力会社によって契約期間や違約金の規定も異なります。あとから余計なコストがかからないように、契約条項の不明点は事前に問い合わせておくと安心です。
電力会社の特徴も考慮
例えば東京ガスであれば「ガス料金とセット割にできる」など電力会社ごとの特色があります。自社で優先したい条件と照らし合わせて、適切な電力会社を選びましょう。
見積もりを依頼する際のポイント
見積もりを依頼する際は、以下の点も押さえておくようにしましょう。
複数社に見積もりを依頼する
電力会社を切り替える際は、複数社の見積もりを比較してから決めることをおすすめします。一括比較サイトなどを活用して、気になる会社すべてに見積もりを依頼しましょう。
見積もり依頼内容の条件をそろえる
見積もりを依頼する際は、必ず同じ前提条件で算出しないと適切な比較ができません。電力切り替えの担当者が複数人いる場合は、同じ条件内容を共有しておきましょう。
法人向けの電気料金プランを探してみよう
法人向けの電気料金プランは、地域によってもさまざまな選択肢があります。事業規模や契約内容によっても適切なプランが異なるため、まずは一括比較サイトなどをうまく活用して何社か目途をつけるところから始めましょう。