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離職率を下げるのに必要なのは、現状把握
離職を防止するためにできることとして思い浮かべがちなのは、給与を上げたり福利厚生を充実させたりすることではないでしょうか。
それらは、もちろん社員のモチベーションアップに効果的ではあるでしょう。しかし、離職の理由は、給与や待遇だけの理由ではないかもしれません。
会社のどの部分に不満を持っているか、は人それぞれ違います。大事なのは、一辺倒に、給与を何%アップする、のような施策を講じることではなく、社員一人ひとりの課題に寄り添うことです。
社員は自分自身の課題を解決しない限りは、離職したいと考えるでしょう。まずは、会社のどんな部分に不満を感じているか、社員それぞれの”現状を把握すること”から始めましょう。
離職率防止ツールは離職の原因を発見・解決するツール
離職防止ツールは、離職しそうな従業員を早期発見したり、離職率低下のための取り組みをサポートしたりするツールです。従業員のモチベーションやエンゲージメント向上、退職原因の分析などの機能が搭載されています。
人材管理システムの一部としてこれらの機能が提供されることもありますが、最近では離職防止に特化したツールも増えています。
離職する人が多いと会社にとってはかなりの痛手です。これまで採用にかけた費用や人件費がほぼすべて無駄になるだけでなく、新たな人材を採用するためのコストやリソースも必要となります。また、離職した社員が重要なポジションだったり、他の社員のモチベーションを上げられる人材だったりした場合、部下である社員の離職も引き寄せてしまいます。
また、社員が辞めると、次に採用するまでの期間、一人あたりの業務量が増えるので、それによって残された社員の士気も下がるということも考えられます。
つまり、離職防止ツールを使うことで、離職の芽を早期に摘んでしまうことが重要なのです。
離職防止ツールには2つのタイプがある
離職防止ツールは大きく分けて、2つのタイプに分類できます。自社の企業文化や課題の傾向などに合わせて向いているのはどちらか考えてみてください。
社員のコンディションケアを重視するタイプ
社員のコンディションケアを重視したタイプは、社員の心身にどのくらいのストレスがかかっているかをチェックしたり、従業員にとって働きやすい労働環境を提供できているか診断したりできます。
離職理由としてよく挙げられる労働条件や人間関係について分析できる機能も充実しています。これらの機能は離職だけでなく、過労やメンタルヘルスなどの労災防止にもつながります。
何より、従業員が「会社が自分たちのことを考えてくれている」と感じやすくなり、エンゲージメント向上に役立ちます。
社員のモチベーション向上を重視するタイプ
社員のモチベーション向上に特化したタイプは、目標の設定や進捗管理、フィードバックなどの機能が充実しています。
1on1をはじめとする従業員のマネジメントや育成に関する機能、社内SNSなど従業員同士の切磋琢磨を促す機能を搭載したツールも多いです。
コンディションケアタイプが守り重視のツールとすると、こちらは攻め重視のツールといえます。従業員エンゲージメントだけでなく、業績アップにも役立つツールです。
離職防止ツールの3つのメリット
離職防止ツールを導入すると、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。ツールを導入するメリットを解説します。
メリット1:社内課題の可視化・改善ができる
離職防止ツールを活用することで、従業員のストレスやモチベーション、社内の労働環境などを可視化できます。従業員一人ひとりの不満はもちろん、組織ごとの働きやすさの現状の把握もできます。
パフォーマンスの高い組織とそうでない組織の違いを分析し、良くない組織に上手くいかせるノウハウを共有することで改善ができます。
また、離職した社員の傾向やパターンを可視化することで、繰り返し起きないように対処できます。
メリット2:会社に大事にされていると実感できる
離職防止ツールでは、現状を把握するためにアンケート調査などを実施します。
その回答によって、会社側から改善するアクションがあると、しっかり自分のことを考えてくれている、と感じ、会社への信頼感が増す効果もあります。
信頼感が増すことで、これまでよりも会社に貢献しようという気持ちになり、会社の業績アップにもつながります。
メリット3:社外からの評価がよくなる
社員に活力があると、自然と社外の取引先などのステークホルダーにも良い印象が与えられます。
会社に不満があると、仕事にも身が入りません。不満や迷いのない状態であれば、社外へも良い対応ができます。
離職防止ツールは離職を防ぐだけでなく、社内の雰囲気を良くし、社外に対する印象も改善することができるでしょう。
離職防止ツールの失敗しない選び方
自社にあったツールを選ばないと、せっかく導入したのに使わなくなった、といった状況になるかもしれません。ここからは、どんなツールが合っているか、選び方のポイントを解説します。ツール導入が意味のあるものになるよう、ツール選びは慎重にしましょう。
使いやすいインターフェイスになっているか
社員の現状把握をするには、まずは調査をし、データを収集する必要があります。そのためには、社員やその上司が使いやすいツールであることが大切です。
せっかく導入しても操作がわかりづらければ、導入初期から使われなくなってしまいます。
また、「入力しても自分にメリットがあるわけでもないから面倒」と思われてしまうと、入力も適当になる可能性もあります。
入力の負担が少ないこと、シンプルで使いやすい操作性、答えやすい質問になっていることなど、使いやすい離職防止ツールを選びましょう。
課題に対し、具体的な解決策を提示してくれるか
離職防止ツールは社員の現状を把握し、その課題を解決するツールです。そのため、この社員は「こんなことに不満を持っている」という結果が出たとしても、その対処をしないのであれば、何の意味もありません。
「このような社員には、こんなコミュニケーションをとるようにする」「こんな兆候があるので、このように対策すべき」など、具体的な対策を示してくれるツールを選ぶと良いでしょう。
特に離職の問題は、対処法が人事担当や現場の上司の性格や判断によってしまう傾向があります。そのため、過去の事例や統計、学術研究などの客観的なデータから解決策を示してくれるツールであれば、対策を誤る可能性が低くなります。
導入フォローなどのサポート体制があるか
導入時に使い方の説明をわかるまでしてもらえるか、使い方がわからなくなったときのサポートがあるかなども重要な観点です。
特にたくさんの機能がついているツールの場合は、どの機能が自社にとって必要なのか、コンサルテーションをしてもらえると安心でしょう。
離職防止ツールもITツールです。バージョンアップのタイミングなどで稀に不具合が発生することもあるかもしれません。
そんなときに問い合わせにすぐに応じてもらえる体制があるのかも確認しておくようにしてください。
離職防止ツール導入で強い組織をつくろう
普段から上司が社員一人ひとりのモチベーションやコンディションのケアがしっかりできているという場合、ツールの必要はないかもしれません。しかし、多くの企業は人手不足に課題を抱えてえおり、自らの業務を遂行するので精一杯、という人も多いでしょう。
そんなときに、ツールがあれば、定期的に社員の状況を把握するという習慣ができ、離職を避けられる仕組み化ができるようになります。
会社を辞める側も改善ができれば辞めずに済んだというケースもあります。
離職防止ツールの導入で、組織の体質を変えるきっかけにしていきましょう。