SFAとは
SFAとは「Sales Force Automation」の略で、日本語にすると「営業支援システム」となります。その名の通り営業部門に特化したツールで、営業活動の効率化や精度アップのための機能が充実しています。
最近ではCRMとしての機能も備えた「CRM/SFA」のツールも多いです。
SFAが必要な理由は「社会変化」
SFAを導入する、あるいはSFA機能を備えたCRMを選ぶ企業は増えています。その理由はさまざまですが、大きな要因として「社会の変化」が挙げられるでしょう。
インターネットが普及する以前の社会では、消費者は企業からの情報を一方的に受け取るしかありませんでした。資金のある大企業はテレビCMをバンバン打ち、そうではない中小企業もチラシや看板などで自社やブランドの認知拡大に力を入れていました。
これらの広告は現代でも使われていますが、現代の消費者はこれらの広告以外からも、能動的に情報を取りに行っています。たとえば気になる商品の口コミをECサイトでチェックしたり、契約を考えている企業の評判をSNSで調べたりなどです。
今までは企業からの情報を一方的に受け取るしかなかった消費者も、自ら情報の取捨選択ができるようになり、企業の広告をそのまま信じることは少なくなりました。言い換えれば、消費者からの信頼を獲得することが、売上アップのための第一条件になったのです。
SFAを活用することで一人ひとりの営業担当者がどのような動きをしているのかがわかるようになります。見込み客への連絡を忘れてしまうようなことも防ぎやすくなります。
消費者からの信頼を得るためには、営業担当者と見込み客のコミュニケーションを見直さなければなりません。そのために役立つのがSFAなのです。
SFAの主な機能
SFAの主な機能は次の通りです。
・顧客管理
・案件管理
・商談管理
・行動管理
・予実管理
顧客管理
一人ひとりの顧客情報を管理するための機能です。年齢や性別、職業、住所などの基本情報はもちろん、購買履歴や接点履歴なども一元管理できます。
案件管理
一つひとつの案件について、その進捗や詳細を記録・管理できる機能です。その案件の確度や次に取るべきアプローチ、注意点はもちろん、見積もりや予想される売上金額なども管理できます。
上司と部下の意思疎通、営業担当者同士の引継ぎなどに役立つ機能です。
日報管理
SFA上で日報を作成し、共有・管理することもできます。特にクラウド型のSFAはスマートフォンを使い、時間も場所も問わずに利用できるものがほとんどです。移動中にスマホから日報を打ったり目を通したりでき、忙しい営業職が時間を有意義に使えるようになるでしょう。
行動管理
一人ひとりの営業担当者の行動や、その結果を記録・管理するための機能です。これにより、優秀者の成功要因や赤字社員の失敗要因を分析し、課題解決に向けた戦略的なアプローチが取りやすくなります。
一人ひとりの営業担当者のデータを集められるだけでなく、営業チーム全体の傾向や課題を分析することもできます。
予実管理
売上の予算と実績を管理すすための機能です。SFA内に蓄積されたデータに基づき売上予測を立てたり、予算に対する達成率・進捗を可視化したりできます。
SFAと似たツールとの違い
SFAと似たツール、一緒に使われるツールとして、CRMやMAが挙げられます。これらはどんなツールで、SFAと何が違うのか、簡単に把握しておきましょう。
CRMとの違い
CRMは「Customer Relationship Management」の略称で、顧客との関係性を管理するためのツールです。
SFAが新規獲得・リード管理に強いツールだとすると、CRMは既存顧客の管理に強く、解約抑止やリテンションに役立ちます。また、SFAが営業部門に特化したツールなのに対し、CRMは経理やサポート窓口などさまざまな部署で使われます。
最近はCRMとSFAの両方の機能を備えた「CRM/SFA」も多いです。
MAとの違い
MAは「Marketing Automation」の略称で、マーケティング活動を自動化するためのツールです。そのための機能としてメールの自動配信やステップメールの作成、見込み客のスコアリングなどの機能を備えています。
SFAが営業部門特化のツールであるのに対し、MAはマーケティング部門に特化したツールです。
ただ、マーケティング部門と営業部門は密接な関係にあり、両部門の連携を強化することは大切です。両部門で情報をリアルタイムに共有し、スムーズな引継ぎができるよう、MAとSFAはシームレスに連携できるもの同士を選びましょう。
SFAの活用で解決できる課題、導入メリット
SFAを活用することで「一部の優秀者に頼りきり」「人材育成がうまくいかず、離職前提でたくさん採用するような状況から抜け出せない」といった営業部門ならではの課題を解決できるでしょう。その理由を、SFAを導入する3つのメリットと併せて解説します。
メリット1:営業活動の効率化
SFAを導入する1つ目のメリットは「営業活動の効率化」です。
SFAにはメールの自動配信やスケジュールのリマインドなどの機能も備わっており、営業担当者の「雑務の負担」を軽くします。メールの送り忘れや連絡忘れなどの人的ミスも防ぎやすくなるでしょう。
クラウド型のSFAなら外出先からでも、スマホを使って顧客や見込み客、案件の情報を確認できます。オフィスを出る前に情報を細かくチェックしたり、メモを取ったりする必要はありません。
メリット2:営業担当者・チームの状況の見える化
SFAを導入する2つ目のメリットは「営業担当者・チームの状況の見える化」です。
先述の通り、SFAには行動管理や予実管理などの分析機能が充実しています。一人ひとりの営業担当者、営業チーム全体の目標達成率をリアルタイムで確認し、状況に応じた対応が取れるようになるでしょう。
メリット3:営業力の強化・底上げ
SFAを導入する3つ目のメリットは「営業力の強化・底上げ」です。
SFAの行動管理機能を使うことで、一人ひとりのメンバーの行動を分析できます。成績が伸び悩むメンバーの問題点を見つけたり、優秀者の成功要因を分析し、一般化して共有したりできるでしょう。
今まで勘に頼っていた部分を言語化し、チーム全体に共有できるようになれば、人材育成もしやすくなります。「辞める前提でたくさん採用する」「たくさん採用した中に優秀な人材や原石が混ざっていることに期待する」といった状況から抜け出しやすくなるでしょう。
SFAの選び方を導入フローに沿って解説
SFAの導入効果を最大化するには、自社に合ったツールを選ばなくてはなりません。機能や価格はもちろん、連携させたい既存システムや自社の規模、従業員の知識レベルなど、SFAにはさまざまな選定ポイントがあります。
自社に合ったSFAを選ぶにはどうすればいいのか、導入フローに沿って解説します。
Step1.まずは自社の課題と目的を明確にする
Step2.自社に必要な機能を見極める
Step3.機能ベースで導入候補をピックアップ
Step4.既存システムとの連携を確認
Step5.セキュリティ対策とサポート体制を確認
Step6.料金の形態や金額で候補を比較
Step7.トライアルや無料プランで操作感をチェック
Step2.自社に必要な機能を見極める
SFAを使って何がしたいのかがわかれば、必要な機能も見えてきます。
新規開拓だけでなく、既存顧客へのリテンションや解約抑止にも使いたいならCRM機能も充実したものがおすすめです。外出先で使うことが多いなら、スマホ対応であるのは大前提として、スマホでもPCでも見やすい「レスポンシブデザイン」のものがいいでしょう。
Step3.機能ベースで導入候補をピックアップする
自社に必要な機能や適したタイプが見えてきたら、機能ベースで導入候補をピックアップしましょう。価格やサポート体制などはひとまず置いておいて、自社に必要な機能をそろえたSFAをピックアップするのです。
ピックアップした導入候補を、既存システムとの連携、セキュリティ対策やサポート体制などの条件で比較していきます。
なお、導入前は「機能は多ければ多いほどいい」と思うかもしれませんが、そうとは限りません。機能が多いほど価格も高くなりやすく、使わない機能(メニュー)が操作の妨げになるかもしれません。
Step4.既存システムとの連携を確認する
導入候補をピックアップしたら、まずは既存システムとの連携を確認しましょう。特に既存のMAとの連携は重要です。「データ連携ができる」のは当たり前として、「データ連携のスピード」も確認しましょう。
たとえば「マーケティング部門に問い合わせが入ったら、それを営業部門に共有し、営業担当者に対応を引継ぐ」というプロセスの場合、MAからCRM/SFAへの情報連携が遅いと、マーケティング部門から営業部門への引継ぎも遅くなります。問い合わせをしてきた担当者が離席したり忙しくなったりと、アプローチのタイミングを逃しかねません。
MAをCRM/SFAとスムーズに連携できるものにかえ、引継ぎのタイムラグを15分短くしただけで、アポ数が2倍になった企業もあります。
Step5.セキュリティ対策とサポート体制を確認する
SFAやCRMは顧客情報を扱うツールです。万が一情報漏えいが起こってしまっては、自社の信用は失墜、損害賠償にまで発展することもあります。セキュリティ対策は万全か、ベンダーは信頼できる企業を確認しましょう。
トラブルが起きたときや疑問があるときのサポート体制についてもチェックしておきたいです。トラブル発生時にはどの範囲まで対応してくれるのか、ツールを使っていて困ったときはどこまでサポートしてくれるのかを確認しましょう。
ITリテラシーに不安のある企業には、導入・運用支援の充実したツールがおすすめです。
Step6.料金の形態や金額で候補を比較する
SFA選定のプロセスも残すところ2ステップですが、ここに来てようやく「価格」ベースでの比較・検討をします。
SFAやCRM、MAなどのツールは売上に密接にかかわってくるツールです。コストを絞って使いづらいものを導入しても、大した効果は得られず、結果的に得られる利益は小さくなるでしょう。多少のコストをかけてでも、自社にとって使いやすい、売上アップにつながるツールを選ぶべきです。
ツールごとの価格を比較するときは、価格だけでなく「料金形態」にも注目します。買い切り制なのか月額制なのか、月額制なら料金は固定なのか、ユーザー数により変動するのかなどを確認しましょう。
料金の金額と形態をチェックすることで、自社にとってお得なツールが見えてきます。
Step7.トライアルや無料プランで操作感をチェックする
SFAを主に使うのは現場最前線で戦う営業職であり、彼らにはとにかく時間がありません。1分1秒の遅れが、成約か失注かを分けることもあるでしょう。
忙しい営業担当者の手を煩わせないよう、使い勝手のいいツールを導入したいものです。
そのために、トライアルや無料プランで操作感をチェックしましょう。たいていのSFAにはトライアルや無料プランがあり、実際の機能や操作感を試したうえで導入を決められます。このとき、PCだけでなくスマホでの操作感も忘れずチェックしておきましょう。
自社に合ったSFAを活用し、営業活動を加速させよう
SFAは営業活動の効率化、営業力の強化につながるツールです。
ただ、それは自社に合ったSFAを選び、積極的に活用した場合の話です。機能不足や操作感が悪いツールは導入してもあまり使われず、そのため大きな導入効果も得られないでしょう。忙しい営業職が使うSFAは特にそうです。
まずは機能の過不足がないか、既存システムとシームレスな連携ができるかという目線で、導入候補をピックアップしましょう。セキュリティ対策やサポート体制も忘れずチェックすることで、無用のトラブルを未然に防げます。
最後に、どんなに良さそうなツールでも、トライアルや無料プランで実際に使ってみることは大切です。忙しい営業職にとって、使いづらいツールを無理やり使わされることは大きなストレスになります。現場での使いやすさを優先して、自社に合ったツールを探してみましょう。