UTM(統合脅威管理)とは?
UTM(Unified Threat Management)は、企業や組織がセキュリティを強化するために利用される統合型セキュリティソリューションです。UTMは、さまざまなセキュリティ機能をひとつの装置やソフトウェアにまとめ、効率的なセキュリティ管理を実現します。
UTMが必要な理由
現代のビジネス環境では、インターネットやクラウドの利用が一般的となりました。これは便利ではあるものの、不正アクセスやサイバー攻撃の脅威も増加し、セキュリティ対策の重要度も高くなっています。
企業や組織はマルウェアやスパム、不正アクセスなどのさまざまな形態の攻撃からネットワークやシステム、機密情報を守らなければなりません。
UTMは多層のセキュリティ機能を統合することで、これらの脅威に対抗するための包括的なセキュリティ対策を提供します。
もちろん、一つひとつの対策を別個に取ることもできますが、それでは管理や保守に大きな負担がかかるでしょう。主要なセキュリティ対策をまとめて導入できること、専任担当者がいなくても強固なセキュリティを保てることが、UTMの主なメリットです。
UTMとファイアウォールの違い
UTMを導入する利点を、ファイアウォールとの比較を通してもう少し詳しく確認してみましょう。
一般的に、ファイアウォールはネットワークの出入り口でトラフィックを監視し、その通信をさせるか否かを判断する仕組みです。火災から建物を守るための「防護壁」が語源で、防護壁が火の手が建物に及ばないようにするように、ファイアウォールも脅威がネットワークに入り込まないように出入り口で防ぎます。
一方、UTMはファイアウォールの機能に加えて、さまざまなセキュリティ機能を統合しています。提供される機能はUTMにより異なりますが、ファイアウォール、アンチウイルス、アンチスパム、IDS(侵入検知システム)、IPS(侵入防御システム)、Webフィルタリング、アプリケーション制御、VPN(仮想プライベートネットワーク)などの機能を組み合わせているのが一般的です。
これらの機能を組み合わせることで、出入り口はより強固になります。ファイアウォールだけでは検知できず、入り込まれてしまうような脅威を検知し、防げる可能性が高まるのです。
UTMの主な機能
UTMの主な機能を8つ紹介します。
・ファイアウォール
・アンチウイルス
・アンチスパム
・IDS
・IPS
・Webフィルタリング
・アプリケーション制御
・VPN
ファイアウォール
UTMの中核となる機能がファイアウォールです。ファイアウォールは、ネットワークの出入り口でトラフィックを監視し、不正なアクセスや悪意のある通信をブロックします。ポートやプロトコルに基づいて通信の可否を判断し、ネットワークのセキュリティを維持します。
アンチウイルス
UTMには、リアルタイムで動作するアンチウイルス機能が組み込まれています。これにより、ネットワーク内に侵入したマルウェアやウイルスを検出し、駆除します。定義ファイルの更新や振る舞い検知(プログラムの動きに基づく判断)などのテクニックを用いて、最新の脅威への対応も可能です。
アンチスパム
UTMは、受信したメールがスパム(迷惑メール)かどうかを検知する「アンチスパム機能」も提供します。
スパムメールは、不正なリンクや添付ファイルを経由してマルウェアを拡散させるものです。UTMのアンチスパム機能では信頼性の低いメールをブロックし、これらのリスクからユーザーを保護します。
IDS
UTMにはIDS(侵入検知システム)も含まれています。ネットワークへの不正なアクセスや情報持ち出しを検知するシステムです。検知された攻撃や不審なアクセスへの適切な対策もとられるため、セキュリティの脅威を最小限に抑えられるでしょう。
IPS
UTMのIPS(侵入防御システム)は、IDSと連携して機能します。侵入検知システムが攻撃を検知した場合、IPSが即座に適切な対策を講じることで、脅威を未然に防げるでしょう。具体的には不正な通信を遮断したり、攻撃元のIPアドレスをブロックしたりすることで、ネットワークへの侵入を防止します。
Webフィルタリング
UTMにはWebフィルタリング機能も備わっています。Webフィルタリングは、特定のWebサイトやコンテンツへのアクセスを制限する機能です。悪意のあるWebサイトの中には、閲覧することでスパイウェアに感染したり、情報を盗み出されたりするものもあります。
社内での不適切なWebサイトの閲覧や、マルウェアが仕掛けられたサイトへのアクセスをブロックすることができます。これにより、セキュリティポリシーの強化を図れるでしょう。
アプリケーション制御
UTMのアプリケーション制御機能は、特定のアプリケーションの使用を制限する機能です。不正なアプリケーションや通信をブロックすることで、セキュリティ上のリスクを低減させます。
セキュリティ対策とは異なりますが、たとえば社内でのSNSやゲームアプリの利用を制限することで、生産性を向上させるといったことも可能です。
VPN
UTMの中には、VPN(仮想プライベートネットワーク)機能を含むものもあります。VPNを利用することで、外部からの不正なアクセスを遮断し、安全な通信環境を提供します。
VPN機能は、特にリモートワークや外出先からのアクセスが多いケースで有効です。従業員がリモートで安全にネットワークにアクセスできるため、セキュリティを維持したまま、柔軟な働き方を実現できるでしょう。
UTMの2つの導入方法
UTMの導入方法には、自社のネットワーク内にUTMを設置するオンプレミス型と、クラウドに設置されたUTMを利用するクラウド型があります。
オンプレミス型
オンプレミス型UTMは、UTMのハードウェアとソフトウェアを企業や組織で所有し、自社のネットワーク内に設置します。ネットワークの内部でデータを処理するため、セキュリティとコントロールをより厳密に管理できるでしょう。
ただし、システムの更新や保守は自社で行わなければならない、基本的に買い切り制で導入のハードルが高いといったデメリットもあります。
クラウド型
クラウド型ではUTMのソフトウェアをクラウドを介して利用します。ネットワークやシステムへのアクセスがインターネット経由で行われるため、専用のハードウェアを設置する必要がありません。
クラウド型UTMは、サービスプロバイダーが提供するクラウドのインフラストラクチャを利用します。そのため導入や管理がしやすく、専任の担当者がいなくても利用できるでしょう。
クラウド型UTMのメリット
「なるべくコストをかけずにセキュリティ対策がしたい」「社内にセキュリティに詳しい人材がいない」といった場合、クラウド型UTMの導入がおすすめです。その理由を、クラウド型UTMの3つのメリットと併せて解説します。
ハードウェア側のトラブルがない
クラウド型UTMの1つ目のメリットは、「ハードウェア側のトラブルがない」ことです。
クラウド型UTMはオンプレミス型と異なりハードウェアそのものがなく、ハードウェアのトラブルによるダウンタイムやメンテナンスの負担を心配する必要がありません。ハードウェアの管理や保守はベンダーが担当してくれます。
保守・運用にかかる労力が少ない
クラウド型UTMの2つ目のメリットは、「保守・運用にかかる労力が少ない」ことです。
クラウド型UTMの管理・保守は、専門知識を持ったベンダー側のスタッフが行います。そのため、保守や運用にかかる労力を限りなく小さくできます。アップデートや脅威情報の更新も自動的に行われるため、常に最新のセキュリティ対策が提供されるのも大きなメリットです。
サポートが充実している
クラウド型UTMの3つ目のメリットは、「サポートが充実している」ことです。
クラウド型UTMを提供するベンダーには、専門の技術サポートを提供する体制を整えているところも多いです。問題が発生した場合や緊急時には、適切な対応を、スピーディに取ってくれるでしょう。推奨設定でのセキュリティ対策を提供してくれるサービスもあります。
自社にセキュリティに詳しい人材がいなくとも、サポートを受けることで高度なセキュリティ対策が可能になります。
クラウド型UTMを活用し、コストを抑えてセキュリティを強化
クラウド型UTMは、企業や組織がセキュリティを強化するための効果的な手段です。ハードウェアの導入や管理にかかるコストを削減しながら、包括的なセキュリティ機能を利用できます。
技術サポートを受けたり自社でのアップデートなしで最新のセキュリティ対策を活用したりできるため、常に強固なセキュリティを維持できるでしょう。
UTMを導入したい方、セキュリティ強化に取り組みたい方は、以下のフォームからお問い合わせください。補助金が使えるケースもありますのでまずはお気軽にご相談ください。UTMをはじめとするセキュリティソリューションの中から、貴社にピッタリのものをご紹介いたします。