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中小企業向けERP(基幹システム)の導入メリットとおすすめのシステム3選
ERPとは、Enterprise Resources Planning の略であり、企業経営の基本となる資源要素(ヒト・モノ・カネ・情報)を適切に分配し、有効活用する計画や、考え方のことをいいます。
この考えに基づき、計画を実現するためにつくられたITシステムを「ERPシステム」や「ERPパッケージ」といいます。
ヒト・モノ・カネ・情報を適切に分配するといっても具体的に何を分配するのかというと、会計・人事・生産・物流・販売などの幅広い業務を指します。
ERPシステムは、それらの基幹業務を効率化するための機能を備え、自社が持つ情報の一元管理を実現します。
中小企業がERPに注目し始めた背景
ERPは、あらゆる業務を支える機能を有する大きなシステムであることから、「導入コストがかかる」「自社に合ったシステム選定が難しい」「管理をする前のデータの整理に時間がかかる」といったデメリットが浮かび、導入するまでの腰が重い、という企業の経営者も多いでしょう。
特に中小企業は、システムにコストをかけられない、人手不足でデータの整理をする人がいない、という企業も多いはずです。
しかし、最近では中小企業でもERPの導入が増え始めています。
その背景として、人手不足だからこそ業務効率を上げ、経営難だからこそ経営戦略を素早く実行する必要性が高まってきたことにあります。
中小企業がERPを導入するメリット3つ
大企業に比べ、人的・金銭的リソースが限られている中小企業ですが、そんな中小企業にこそ、ERP導入を勧めたい理由があります。
ここからは、ERPを導入して得られるメリットを3つを解説します。
人手不足の解消
中小企業が最も頭を悩ませているのが人手不足です。
ERPを導入することで人事・給与・労務や、経理、生産管理、在庫管理などあらゆる業務を効率化できます。
企業の根幹となる業務の効率化を進めることで、これまで手作業で行っていた作業がなくなったり、データの一元管理をすることによって情報共有がスムーズになったりします。単純作業がなくなることで、人を採用する必要がなくなるかもしれません。
生産性向上
これまでの業務システムは、業務によって別々のシステムが存在しており、他部署の持っている情報が欲しいと思った際に共有してもらう手間や、時間のロスが発生していました。
ERPを導入することで、情報の一元化と状況の可視化が即座にできれば、一連の業務を短縮できます。例えば、生産工程から販売までの工程をスムーズにすることで、営業や問い合わせ対応など売上に直結する業務にあてることが可能になります。
経営判断スピードの向上
ERPによって情報を一元管理すると、意思決定の速度が向上します。
特に中小企業の場合、大企業に比べ、提供サービスの範囲や数が限られていることが多く、競合企業との競争に負けてしまうと経営存続の危機に陥るため、経営状況のリアルタイムな把握や判断が重要となります。
経営資源となるすべての情報を可視化できるERPは、経営支援においてもメリットを生みます。
ERPの主なシステム・種類
中小企業にとってメリットの多いERPですが、具体的にどんなシステムのラインナップがあるのでしょうか。ERPは会社全体の業務をカバーするシステムであるため、システムの種類も豊富です。紹介します。
人事・給与
社員情報や、給与計算を担うシステムです。社員の役職や社歴、個人情報を管理し、それらの情報に紐づき給与を計算したり、必要な人事書類の作成などができます。
計算や給与明細などの書類の発行が自動でできるため、人的ミスや業務の手間を省きます。
財務・管理会計
企業の会計情報の管理や日次・月次の会計処理を行うシステムです。
各部署やプロジェクトの財務状況の把握、各種会計書類の作成などができます。経営判断を迅速にするためには、特に財務・管理会計システムは重要な役割を果たします。
生産管理
生産管理は需要と供給の予測データ分析や製品ごとの生産量、そのために必要な原材料の量や確保するべき作業員の人員数、工程ごとの製造ラインの作業時間や在庫数など、生産にまつわる情報を管理するシステムです。
メーカーなどの場合は、この生産管理は売上や経営に直結すると言える重要な業務です。
販売管理
見積り作成から受注、出荷作業、出荷後の請求や入金作業などの販売業務をサポートするシステムです。販売管理は、業界・業種を問わず発生する業務であり、煩雑な作業も多いため、システムを導入することのインパクトが大きい業務といえます。
債権・債務管理
企業間取引では、債権(売掛金)や債務(買掛金)が発生します。ERPでは、債権・債務の状況を管理できます。債権・債務は信用で成り立っているため、貸している側も借りている側も債権・債務を適切に管理し、期限通りに代金を回収・支払いしなければなりません。企業としての信頼を失わないためにも重要なシステムです。
固定資産管理
企業の持つ固定資産は多岐にわたります。建物や、デスクや椅子、OA機器などの備品、社用車、中小企業もよく利用するリース資産についても管理できます。
建設仮勘定や資産除去債務など、資産を手に入れる前の状態から手放すまでの業務を効率化できるシステムもあります。
ERPは、会計システムと固定資産管理のシステムが連携されており、固定資産に紐づいた会計処理も楽になります。
中小企業がERP選びに失敗しないための選び方
効率化と経営の底上げに寄与するERPは、多くの製品があります。たくさんある製品の中からどのERPを選べばいいのか、中小企業の視点でポイントを解説します。
クラウド型とオンプレミス型かを選ぶ
ERPには、オンプレミス型と呼ばれる社内のサーバーにインストールして使うシステムと、クラウド型と呼ばれるインターネットを介して利用するシステムがあります。
クラウド型とオンプレミス型の違いは、ERPの運用基盤が自社のサーバーか、クラウド上のプラットフォームかという点です。
オンプレミス型の場合は、機能追加や法改正によるバージョンアップ時に自社でアップデートをしないと更新がされないのに対し、クラウド型は自動で最新にアップデートされる点も大きな違いです。
クラウドERPの場合は、サーバーやネットワーク機器などの導入に費用がかからず、サーバー管理のエンジニアやサーバー室なども不要になります。
導入のコストを抑えられる点と、管理する人的リソースを抑えられる点、社員数などのアカウント数で課金してもらえるなどの点から、中小企業にはクラウド型のERPがおすすめです。
業務に適合するシステムを選ぶ
日常の業務を洗い出し、より適合性が高いERPを選ぶようにしましょう。
適合性を判断するには、どのような課題を解決したいのか現状の業務から洗い出し、それに対応できるERPを選ぶことが大切です。すでに利用している社内ソフトや業務システムがある場合は、それらのシステムの置き換えや、使用し続けるシステムとの連携についても確認しておきましょう。
コストパフォーマンスを考える
クラウドERPは、初期費用や月額費用を抑えられるのが大きなメリットです。
アカウント数分しか課金されないことは無駄がなく、コストパフォーマンスも良いと感じますが、これから積極的に採用をかける計画がある場合、今後どれくらい社員が増える見込みがあるのかなどをあらかじめ試算しておきましょう。月額コストが負担にならないよう、どのような課金形態のシステムが良いのか考えましょう。
サポートの充実度を確認する
サポートの充実度はERPによって異なります。ERPは業務の根幹となるシステムのため、万が一不具合や操作ミスが発生すると業務に支障をきたします。
特に給与計算や、会社の会計数値に影響が出る事態が起きた場合は、早急に対応が必要です。トラブルが起きたときにすぐに対応してもらえる体制があるのか、サポート体制についても確認しておいてください。
中小企業こそERPを導入すべき
商品やサービスが溢れている現在では、市場の競争は激化する一方で、中小企業を取り巻くビジネス環境も厳しいものとなっています。このような環境下で中小企業が競争に勝つためには、経営資源の効率的な管理・運用が必須です。ERPは企業の経営資源を統合管理し、経営状況の可視化や意思決定の迅速化に役立ちます。
クラウドERPの導入で失敗しないために、まずは、自社の業務や課題の整理をし、自社に合ったシステムを選ぶようにしましょう。