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近年、新たな資金調達手段として注目されている「クラウドファンディング」。中には数億円以上を調達したケースもありますが、クラウドファンディングを成功させるためには正しい知識を身に付ける必要があります。

そこで、本記事ではクラウドファンディングのやり方や始め方のほか、成功につなげるためのポイントなどをまとめました。基礎をしっかり押さえられる内容になっているので、利用を考えている人はぜひ参考にしてください。

そもそもクラウドファンディングとは?

クラウドファンディングは、実現させたいプロジェクトをインターネット上で公開し、一般ユーザーからの支援金を募る仕組みです。プロジェクトを掲載する際は目標金額を記載しますが、支援者の集まりによってはそれ以上の資金を調達することもできます。

黎明期には社会貢献や地域活性化につながるプロジェクトが多く見られましたが、最近は企業の先行販売やPRにも利用されるようになりました。サービスによっては、あらゆる業種・ジャンルのプロジェクトが取り扱われています。クラウドファンディングでは、目標金額やリターン(※)を起案者側が自由に決められます。

(※)支援者に対して、支援金額に応じた品物やサービスを贈ること。

クラウドファンディングを利用するメリット・デメリット

クラウドファンディングで資金を調達する主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。

クラウドファンディングのメリット クラウドファンディングのデメリット
・金融機関からの融資に比べると手続きが簡単
・資金的に難しいプロジェクトにも挑戦できる
・会社や製品、プロジェクトの認知度が向上する
・ファンを獲得できる可能性がある
・テストマーケティングに活用できる
・必ずしも資金が集まるとは限らない
・競合にビジネスアイデアを知られる
・手数料やリターンが負担になることがある
・継続的な情報発信が必要になる

クラウドファンディングの最大の魅力は、資金調達とPRを同時に行えることです。

クラウドファンディングでプロジェクトを一般公開すると、会社名や製品、プロジェクトなどがユーザーに知られるため、認知度の向上が期待できます。支援者と積極的にコミュニケーションを取れば、新製品のテストマーケティングにも活用できるでしょう。

しかし、クラウドファンディングは失敗するケースも多く、国内における成功率は約30%といわれています。リターンの内容や労力によっては赤字になることもあるので、プロジェクトを掲載するまでのプランは慎重に検討しなくてはなりません。

一方で資金面以外にもさまざまなメリットがあるため、特にマーケティングに力を入れたい企業にとっては有益な経営戦略になる可能性があります。

クラウドファンディングの3つの種類

クラウドファンディングには、以下の3種類のサービスがあります。それぞれ仕組みが大きく異なるので、それぞれの概要をチェックしておきましょう。

購入型クラウドファンディング

支援者に対して品物やサービス、特別な権利などをリターンとして贈る方式です。リターンの具体例としては自社製品や付属品、プロジェクトの関連グッズなどがあり、企業の先行販売にも多く活用されています。

形式上は「支援」ですが、実際は支援者がリターンを購入することになるため、購入型クラウドファンディングは売買契約として扱われます。したがって商取引に関連する法規を遵守する必要があるので、特にリターンに関する内容は慎重に記載する必要があります。

寄付型クラウドファンディング

リターンとなる品物や金銭が一切発生しない、いわゆる「募金」と同じサービスです。社会貢献や地域活性化につながるプロジェクトが多く、資金調達額の目安は数万円です。

寄付型クラウドファンディングでは、掲載するプロジェクトに寄付先や資金使途を明記する必要があります。起案者の利益のために利用するサービスではないので、一般的なビジネスや事業に活用することは難しいでしょう。

金融型クラウドファンディング

支援者へのリターンとして、分配金や株式といったものが贈られる方式です。プロジェクトにもよりますが、一般的には利回りが3~10%に設定されているため、高利回りの資産運用として投資家から人気を集めています。

金融型クラウドファンディングの起案者は、「第二種金融商品取引業の登録」を受けた事業者に限られます。プロジェクトを掲載する際は事業計画書や決算書も必要になるため、利用する場合は早めに準備を始めることをおすすめします。

サービスの種類 リターンの内容 主な目的
購入型 品物やサービス、特別な権利など ・新たな事業を始めたい
・事業資金を調達したい
・会社や商品の知名度を上げたい
寄付型 なし ・社会に貢献したい
・地域を活性化させたい
金融型 分配金や株式 ・高額な資金を調達したい

いずれのサービスにも魅力がありますが、中小企業や個人事業主が資金調達を行う場合は、購入型クラウドファンディングを利用するのが一般的です。そのため、ここからは購入型のサービスに絞って解説します。

クラウドファンディングを利用する手順

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実際にクラウドファンディングを利用する際、どのような手順でプロジェクトを掲載すればよいのでしょうか。ここでは、購入型クラウドファンディングの利用手順を簡単に紹介します。

【STEP1】目標の設定

まずは実施するプロジェクトに関して、最終的なゴールとなる「目標」を設定しましょう。わかりやすい目標がないと、「どこを目指しているのか」「プロジェクトに何が必要なのか」が伝わりにくくなるため、少なくとも以下の点は明確にしておきましょう。

  • プロジェクトを進めるための目標金額
  • 目標金額を集めるまでの期間
  • プロジェクト自体のゴール
  • 調達した資金の使い道

いずれも起案者が自由に設定できますが、支援者に興味を持ってもらうためには一貫性のあるプロジェクトを用意することが大切です。例えば、資金使途に対して目標金額が多すぎると、「別のことに資金を使うのでは」と疑われるリスクがあるので、目標を設定する際には矛盾が生じないように注意してください。

【STEP2】利用するサービスの選定

プロジェクトの方向性や目標が決まったら、次はそれに適したサービスを選びます。特定の業界や購入型・寄付型・金融型に特化したものなど、クラウドファンディングにはさまざまなプラットフォームがあるため、各サービスを細かい部分まで比較することが大切です。

サービス選びで意識したいポイントとしては、以下の点が挙げられます。

○サービス選びのポイント
・手数料の仕組み
・掲載できるプロジェクトのタイプ(購入型・寄付型・金融型)
・掲載されているプロジェクトの傾向(業界や規模など)
・これまでの成功実績やユーザー数

また、起案者に対するサポート内容もサービスによって異なります。サポートが充実しているサービスを選べば、インターネットやパソコンの操作に不安がある人でも、安心してクラウドファンディングを利用できるでしょう。

例えば初期費用0円で利用できる「OHACO」は、記事作成から宣伝まであらゆる工程をサポートしています。プロジェクトの運用をプロに丸投げできるので、本業に集中しながら資金調達を進められます。

【STEP3】プロジェクトの登録

次は利用するサービスの公式サイトにアクセスし、プロジェクトを登録します。サービスの案内にしたがって会社や申込人の情報、プロジェクトの概要などを入力しましょう。

入力に迷うような項目はありませんが、プロジェクトの概要は入力漏れがないように注意してください。多くのサービスでは審査が行われるため、特にプロジェクトの目的や動機、資金使途はしっかり記載する必要があります。

具体性に欠ける場合は補足用の写真や動画なども用意して、審査通過を目指しましょう。

【STEP4】資金調達の開始

審査に通過するとプロジェクトが一般公開されます。クラウドファンディングサイトだけでは周知が難しいケースもあるので、自社のホームページやSNSなども活用しながら、できるだけ多くの人にプロジェクトを伝えましょう。

中でもSNSは拡散性が高いため、多くの起案者がプロジェクトのPRに活用しています。投稿を見たユーザーが新たにクラウドファンディングサイトに登録してくれる可能性もあるので、SNSは積極的に活用することをおすすめします。

プロジェクトを成功させるポイント

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クラウドファンディングを成功させるためには、プロジェクトへの熱意を伝える工夫が必要です。具体的にどのような工夫をすべきなのか、ここではプロジェクトを成功させる5つのポイントを紹介します。

1.「共感」をキーワードにプロジェクトを考える

クラウドファンディングのユーザーは、共感を得たプロジェクトに対して支援を行う傾向があります。そのため、単に売り出したい商品をプロジェクトにするのではなく、想いが伝わるようなプロジェクトを用意することが大切です。

良いプロジェクトがなかなか浮かばない場合は、リターンによって共感を得ることも考えてみましょう。例えば多くの人が抱える悩みを解決したり、日常生活を便利にしたりするリターンを設定すれば、多くの人から共感を得られるでしょう。

2.わかりやすいプロジェクトページを作成する

プロジェクトページとは、支援者を募るためにプロジェクトの概要が記載されたページのことです。基本的には審査の前に作成するものであり、ユーザーはプロジェクトページの内容を比較しながら支援先を探します。

クラウドファンディングでは「プロジェクトページを読んでもらうこと」が大前提となるため、誰が読んでもわかりやすいページを作成しなければなりません。多くの起案者は、イラストや写真、動画なども活用しながら、視覚的にも楽しめるプロジェクトページを作成しています。

3.信用できる人物であることをアピールする

クラウドファンディングは、支援者の善意によって成り立っているサービスです。「応援したい」と感じたプロジェクトに対して支援が行われるため、プロジェクトだけではなく個人としても信用を得ることが大切です。

具体的な対策としては、プロフィールに細かい経歴を載せたり、プロジェクトページに自身のストーリーを書いたりする方法が挙げられます。個人のSNSやブログなどを使って、積極的に情報を発信することも信用の獲得につながるでしょう。

4.公開直後に一定の成果を出す

クラウドファンディングでは、多くのユーザーが以下のような流れで支援先を選びます。

【1】タイトルやリターンが気になるプロジェクトを閲覧する
【2】現時点での支援額・支援人数をチェックする
【3】達成できそうなプロジェクトに絞って支援を行う

このように「プロジェクトの達成度」も重要な判断材料であり、進捗が早いプロジェクトほど注目されやすい傾向があります。そのため、公開直後から一定の成果を出せるように、SNSや自社サイトを使った認知向上にも注力するべきです。

あらかじめ支援者の目星を付けておき、プロジェクトの公開前から声をかけておく方法も効果的です。公開直後にスタートダッシュができれば、「注目のプロジェクト」や「おすすめのプロジェクト」として紹介されるケースもあります。クラウドファンディングでは「初速」にこだわることも大切です。

5.定期的に活動報告を行う

クラウドファンディングで公開したプロジェクトページには、これまでの支援金額や支援人数が表示されます。これだけでもプロジェクトの進捗度は伝わりますが、より丁寧で親切なイメージを与えるために、以下にも活動報告を記載しておきましょう。

  • プロジェクトページの自由記載欄
  • 公式サイト
  • TwitterやFacebookなどのSNS

例えば、プロジェクトページに「あと○○円で達成です!」「△△人の支援者が集まりました!」のように記載しておくとユーザーに連帯感が生まれて、さらに支援が集まりやすくなります。プロジェクトに対する熱意や支援者への感謝を伝えることにもなるため、活動報告は自身の言葉を使って発信することをおすすめします。

また、活動報告はこまめなほど丁寧な印象を与えられるので、定期的に更新することを心がけましょう。

プロジェクトが成功した後にやるべきことは?

クラウドファンディングにおける活動は、資金を調達すれば終わりではありません。支援者の期待に応えるには、プロジェクトの成功後に取り組むべきことがあります。

支援者に感謝の気持ちを伝える

プロジェクトの期間が終了したら、まずは支援者に対して感謝の気持ちを伝えましょう。プロジェクトページにお礼を掲載する他、支援者一覧をホームページに掲載したり、手紙やメールを送ったりする方法もあります。

このような形で支援者を大切にすれば、自社や商品・サービスのファンを獲得することにつながります。ファンはその後のビジネスにおいて重要な役割を担うので、仮にプロジェクトが失敗したとしても感謝の気持ちはきちんと伝えましょう。

事前に約束したリターンを贈る

購入型クラウドファンディングでは、支援者にリターンを贈ることも忘れてはなりません。リターンを目的に支援を行っているユーザーもいるため、発送手続きはできるだけ早めに済ませましょう。

発送が完了したら、プロジェクトページなどで状況を報告することも大切です。発送が遅れそうな場合は、その理由や実際の発送時期と併せて、遅延の事実を早めに伝えましょう。

【関連記事】・リターンを魅力的に見せるポイント&テクニック!クラウドファンディングの上手な使い方

プロジェクトの現状を定期的に報告する

クラウドファンディングを利用した後も、プロジェクトの現状はこまめに報告することが大切です。例えばSNSなどを利用して最新の動画や写真を公開すれば、目標に向かって着実に進んでいることをアピールできます。

また、調達した資金で購入したものについても、プロジェクトの透明性を高めるためにしっかり報告しましょう。

自信がない人はサポートが手厚いサービスを選ぼう

クラウドファンディングの成功率は決して高くありませんが、ポイントを押さえて準備を行えば中小企業や個人事業主でも多くの支援金を集められます。クラウドファンディングの利用を考えている人は、本記事の内容を参考にして入念に準備を進めてください。

自力でプロジェクトを成功させる自信がない人は、OHACOのように手厚いサポートが用意されたサービスを選ぶとよいでしょう。

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